子どもの急な発熱・対処法マニュアル|何度から受診すべきか
大学病院小児科に15年勤務後、地域の小児科クリニックを開業。子どもの発熱相談を年間3000件以上対応。著書に『子どもの熱、どうする?』がある。
「熱が出た!でもどうすればいいの?」——子どもの急な発熱は親を慌てさせます。夜中に熱が上がった時、休日に発熱した時、どう対応すればいいのか、小児科医の視点で詳しく解説します。
子どもの発熱の基本知識
発熱とは何か
一般的に37.5度以上を発熱と判断します。ただし子どもは体温が高め(36.8〜37.4度程度が平常範囲)のため、普段の体温を把握しておくことが大切です。
体温の測り方のポイント
- 脇の下で5分間測定
- 測定前に汗を拭いてから測る
- 泣いた直後・食後30分は高く出ることがある
発熱は免疫反応
発熱はウイルスや細菌と戦うための免疫反応です。体を温めることでウイルスの増殖を抑え、免疫細胞の働きを活性化させます。必ずしも「熱が高い=重症」ではありません。
発熱時の対応フローチャート
受診が必要かどうかの判断基準
すぐに救急(119番または救急外来)へ
- けいれん(熱性けいれん)が起きた・止まらない
- 意識がない・呼びかけに反応しない
- 呼吸が苦しそう・チアノーゼ(唇・爪が青紫)
- 高熱で激しく泣き続けて止まらない
- 首が硬い(髄膜炎の疑い)
翌日(または当日)に小児科受診
- 38.5度以上が続く
- 3日以上発熱が続いている
- 水分が飲めない・脱水症状がある
- 耳を痛がる・のどが腫れている
- 発疹が出ている
- 生後3ヶ月未満の発熱(必ず受診)
様子を見てOK
- 38.5度未満で機嫌が良い
- 水分が取れている
- いつも通り遊んでいる(少し元気がないのは正常)
初めて高熱が出た時は本当に焦りました。でも小児科の先生に「熱の高さより、機嫌や水分補給が取れているかを見て」と教えてもらってから、少し落ち着いて対処できるようになりました。
家庭でできる発熱ケア
水分補給が最優先
発熱時は汗や呼吸で水分を多く失います。こまめな水分補給が最重要です。
おすすめの飲み物
- 経口補水液(OS-1・ポカリスウェット等)
- 麦茶・白湯
- アイスを溶かしたもの(小さい子で飲みたがらない場合)
水分が取れているサインの確認
- 6時間以上おしっこが出ていない場合は脱水の可能性あり
解熱剤の使い方
使う目安:38.5度以上で、機嫌が悪い・つらそうにしている場合
解熱剤は熱を下げることで「つらさを和らげる」ためのものです。熱自体をなくすものではありません。
子ども用解熱剤(アセトアミノフェン系)
- 代表品:カロナール(処方薬)・子ども用バファリン(市販)
- 使用間隔:最低4〜6時間以上あける
- 使用回数:1日3回まで
絶対にNGな薬
- アスピリン(インフルエンザ・水痘のときはライ症候群のリスク)
- 大人用の解熱剤
体を冷やす方法
冷やしていい場所
- 首のわき(頸動脈)
- 脇の下(腋窩動脈)
- 鼠径部(足の付け根)
冷却シートをおでこに貼るのは「気持ちいい感覚」のためで、体温を下げる効果はほぼありません。ただし本人が好む場合は使っても問題ありません。
室温・衣服の調整
寒気がある(震えている)時:しっかり温める・毛布をかける 発汗が始まった(熱が下がり始め)時:汗を拭いて着替えさせる・薄着にする
受診の前に確認すること
小児科に電話する・受診する前に以下を把握しておくと診察がスムーズです。
- 最初に熱が出た日時
- 最高体温と現在の体温
- 他の症状(咳・鼻水・下痢・嘔吐・発疹)
- 水分摂取量・排尿の回数
- 最後にご飯を食べた時刻
- 最近受けたワクチン・服用中の薬
夜間・休日の受診先
#8000(小児救急電話相談)
全国統一の番号で、24時間(地域によっては21〜翌朝6時)小児科医や看護師に電話相談できます。「受診すべきか」の判断に活用しましょう。
休日急患センター・夜間救急
市区町村の広報・自治体ウェブサイトで場所と時間を事前に確認しておきましょう。子どもが元気なうちに調べておくことをおすすめします。
解熱剤の使い方ガイド
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用目安 | 38.5℃以上で「ぐったりしている」「眠れない」とき |
| 使わなくていいケース | 38.5℃以上でも元気に遊んでいるとき |
| 種類 | アセトアミノフェン(カロナール等)が小児の第一選択 |
| 使用間隔 | 最低6時間あける |
| 座薬 vs 飲み薬 | 嘔吐があるときは座薬、飲めるなら飲み薬 |
| 注意 | 大人用の解熱剤(ロキソニン等)は絶対に使わない |
大切なこと:解熱剤は熱を「治す」薬ではなく、一時的に「下げる」薬です。使っても使わなくても病気の回復期間は変わりません。子どもが楽になるために使うものです。